新型コロナウイルスの流行以来、感染予防としての「ソーシャルディスタンス」という言葉が浸透してきましたが、人と人との距離を、自分と相手との関係性によって考える「パーソナルスペース」という考え方が以前からあります。今回は、この「パーソナルスペース」について、主に中学生・高校生のご利用者様と一緒に学びました。
人と人との距離には、性別による差や、親密さの度合いによって、快適、あるいは不快と感じる距離があります。ただ、快・不快の感覚には個人差があり、例えば、自分は良くても相手は嫌だという場合があります。お互いにとって適切な距離をとるということは、意外と難しいものです。
そこで、家族と自分との距離、友達と自分との距離、知らない人と自分との距離などを、リボンの長さの違いによって表し、一目でわかる形にして、ご利用者様に見ていただきました。目で見ることで、「近い」、「遠い」という感覚が、実際にはどの程度の距離なのかを、具体的につかむことができました。
さらに、関係性の違いによって、適切とされている距離を表す「関係性の輪」をスタッフが考えました。「関係性の輪」では、自分を中心として、相手との距離を円の直径で表します。家族、友達、知らない人などを「関係性の輪」に当てはめると、輪の大きさがどのくらいになるかについて、ご利用者様の意見をお聞きしながら確認しました。すると、相手との関係性の違いによって、とるべき距離が変化するということを、はっきりと区別することができました。
最後に、指導員によるお芝居を見て、みんなで適切な距離について考えてみました。日常生活で起こりそうな場面をお芝居で見ることで、自分自身に当てはめて考えやすかったようです。ご利用者様から積極的に、いろんな意見が挙がりました。
「思春期」とよばれる中学生・高校生になると、特に性別の違いによって、相手との距離を調節する感覚を持つことが、とても大切になります。無自覚に相手に近づきすぎると、誤解を生む場合もあります。相手との適切な距離を保つために、今回学んだことを生かしていただければと願います。
